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守りのチーム戦術 -- リテイクとローテーション

守りのチーム戦術 -- リテイクとローテーション

STEP2では攻め側のチーム戦術を扱った。ここからは守り側の話に入る。

攻め側はエクセキュートのタイミングを自分たちで選べる。でも守り側はそうはいかない。相手がいつ、どこに攻めてくるかわからない状態で待ち構えなければならない。この「受け身」の立場を有利に変えるための考え方が、守りのチーム戦術の核になる。

守り側の基本配置 -- 各ポジションの役割と責任範囲

アンカー / ローテーター / アグレッシブピーカーの使い分け

5v5のFPS、たとえばValorantやCS2では、守り側はマップ上の複数のサイトに人員を分散させて守る。この配置にはいくつかの役割分担がある。

アンカー(anchor): サイトに最後まで残る守りの要。たとえばBサイトにアンカーが1人いれば、Bが攻められたとき「まだBに味方がいる」という情報が入るから、味方はローテーションの判断ができる。アンカーは粘り強く時間を稼ぐことが仕事で、無理にキルを狙いにいく必要はない。むしろ生き残ることが最優先になる。

Valorantでいうと、CypherやKilljoyのようなセンチネル(サイトの守りに特化したエージェントカテゴリー)がこの役割を担うことが多い。罠やアラームで敵の接近を察知しつつ、時間を稼ぐ動きになる。

ローテーター(rotator): サイト間を移動して、攻められている側に駆けつける遊撃手。マップの中央付近に位置取りして、どちらのサイトにも素早く移動できるようにしておく。

ローテーターは判断力が問われるポジション。早く動きすぎるとフェイクに引っかかるし、遅すぎるとアンカーが潰されてからの合流になる。「いつ動くか」がこのポジションの最大のテーマで、これはSTEP4のコミュニケーションとも密接に関わってくる。

アグレッシブピーカー: ラウンド序盤に前に出て情報を取る、あるいはキルを狙いに行く攻撃的な守り方をするプレイヤー。オペレーター(ValorantやCS2での長距離狙撃武器)で角度を張ったり、フラッシュを使って前に出たりする。

リスクとリターンの大きいポジション。序盤のキルが取れれば4v5の有利が作れるけれど、逆にやられれば4v5の不利を背負う。チーム内で「この人がアグレッシブに出る」と決まっていれば、残りの4人はそれを前提にカバー配置を組める。決まっていないと、2人が同時にアグレッシブに出て2人とも倒されるような事故が起きる。

守りのユーティリティ配分 -- サイトごとのリソース管理

守りでは、ユーティリティ(スモーク・フラッシュ・モロトフなどのグレネード類全般)を「いつ使うか」の管理が攻め以上に重要になる。

攻めはエクセキュートの瞬間にユーティリティをまとめて使う。だから使い時が明確。一方、守りはラウンドの長い時間を耐えなければならないから、序盤で全部使い切ると後半が丸裸になる。

よくある失敗が「デフォルトの段階で相手のプレッシャーに焦ってユーティリティを全部使ってしまう」パターン。敵がAサイト入口でうろうろしている時点でスモークもモロトフも使い切って、本命のエクセキュートが来たときには何も残っていない。

目安としては、「序盤の情報取りや遅延には全ユーティリティの3分の1程度、残り3分の2はリテイクやエクセキュート対応に温存する」くらいの配分がバランスが良いとされている。ただしこれはチーム構成や相手の攻め方にもよるから、絶対の正解はない。

リテイクの設計 -- サイトを取られた後の奪還手順

リテイクのタイミング判断 -- 味方が揃うまで待つ vs 即仕掛ける

サイトが取られた。スパイク(Valorantでの爆弾。CS2ではC4)が設置された。ここからがリテイクの始まりになる。

リテイク(retake)は、一度サイトを制圧された後に、チームで奪い返す動き。守り側のチーム戦術のなかでも特に連携力が問われる場面。

ここで最初に判断するのが「いつ仕掛けるか」。選択肢は大きく2つ。

味方が揃うのを待つ: ローテーターが合流し、残っている味方全員でまとめてリテイクする。人数を揃えてから動くから、個々の撃ち合いの負担が軽くなる。ただし、スパイクの解除時間(Valorantでは7秒、途中で解除を中断されると最初からやり直し。CS2では約10秒)があるから、あまり悠長にはできない。

即仕掛ける: サイトの近くにいた味方が、全員揃う前にリテイクを開始する。時間的な余裕は生まれるけれど、人数不利の状態で撃ち合いになるリスクがある。

どちらが正解かは状況による。残り時間が少なければ待っている余裕はないし、人数差が大きいなら全員揃えてからのほうが確率は上がる。

判断の基準として使いやすいのが「人数差」と「残り時間」の2軸。

  • 人数同数以上 + 時間に余裕あり → 揃えてから仕掛ける
  • 人数不利1人 + 時間に余裕あり → 揃えてから仕掛ける(ユーティリティで補う)
  • 人数不利2人以上 → 勝率が低いことを受け入れつつ、ユーティリティを最大限活用して仕掛ける
  • 時間がない(スパイク爆発まで20秒以下) → 待たずに仕掛ける

ローテーション判断 -- いつ・何人動かすかの基準

リテイクと密接に関わるのがローテーションの判断。相手がAサイトに攻めてきたとき、Bサイトから何人をAに回すか。全員回すのか、1人残すのか。

ここでの失敗パターンは大きく2つある。

パターン1: 全員がローテーション → フェイクに引っかかる

5人全員がAサイトに向かったところで、相手は実はBサイトに向かっていた。Bが無人になっていて、フリーでサイトを取られる。これを防ぐには、「最低1人はBに残る」というルールをチーム内で決めておく方法がある。

パターン2: ローテーションが遅すぎる → アンカーが孤立して倒される

「フェイクかもしれない」と迷いすぎて、Aサイトのアンカーが1人で3人を相手にすることになる。アンカーがやられた時点でサイトが取られ、リテイクが必要になる。

ローテーションの判断は「確定情報」と「推測」のどちらに基づくかで変わる。

  • 確定情報: 3人以上の敵をAサイト方向で視認した → これは本命の確率が高い。ローテーション開始
  • 推測: Aサイト方向からスモークとフラッシュが聞こえた → フェイクの可能性あり。まだ動かない

コミュニケーション(次のSTEP4で詳しく扱う)で情報を共有して、チーム全体で判断を下す。ローテーションは個人の判断で勝手に動くと崩れやすい。「何人見えた」「ユーティリティがどれだけ使われた」という情報をコールして、IGLがローテーションの指示を出すのが理想的な形になる。

守りは「情報を取ってから動く」のが鉄則

攻めはアクションを起こす側。守りはリアクションをする側。この非対称性がFPSの5v5の面白さでもあり、難しさでもある。

守り側が有利なのは、「待ち構えられる」こと。不利なのは、「相手がいつどこに来るかわからない」こと。この不利を解消するのが「情報」になる。

アビリティで偵察する。足音を聞く。味方からのコールを受ける。そうやって情報を集めてから動く。情報なしで動くと、フェイクに引っかかるし、ローテーションのタイミングを間違える。

守りでの一番の敵は「焦り」だと感じる人は多いと思う。攻め側のプレッシャーに耐えきれず、安全なポジションから飛び出してしまう。ユーティリティを早く使いすぎる。ローテーションを急ぎすぎる。

焦りへの対処法は、「やるべきことを決めておくこと」に尽きる。配置が決まっている。ユーティリティの使い時が決まっている。ローテーションの基準が決まっている。事前に決められることを決めておけば、試合中に判断すべきことが減って、焦りにくくなる。

守りのチーム戦術は、攻めほど派手さはない。でも、しっかり組み立てたチームの守りは本当に堅い。攻め側が完璧なエクセキュートを決めても、的確なリテイクで跳ね返されると精神的にもかなりきつい。守りの練度を上げることは、チーム全体の安定感に直結する。

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