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オンライン対戦の心得 -- ラグ環境と向き合う方法

オンライン対戦の心得 -- ラグ環境と向き合う方法

「オフラインで練習した連携がオンラインだと全然つながらない」

格ゲーのオンライン対戦に潜ったことがある人なら、この感覚に覚えがあると思う。トレーニングモード(通称トレモ。CPU相手に技やコンボを練習できるモード)では安定していたコンボが、対人戦になった途端にポロポロ落ちる。自分の腕が急に落ちたわけではなく、原因の多くは**ネットワーク遅延(ラグ)**にある。

オンライン格ゲーには、オフラインにはない固有のストレスがつきまとう。でも、ランクマッチ(オンラインで実力に応じた段位・ポイントを賭けて対戦するモード)で上を目指すなら、ラグとの付き合い方を身につけることは避けて通れない。ここではまず、オンライン対戦で何が起きているのかを理解するところから始めてみよう。

オンライン格ゲーの宿命 -- 入力遅延とロールバック

ロールバックネットコードとディレイネットコードの違い

格ゲーのオンライン対戦には、通信方式として大きく2種類のネットコード(ゲームがオンライン対戦時に通信を処理する仕組みの総称)がある。

ディレイネットコードは、相手の入力情報が届くまで自分の操作の反映を「待つ」方式。入力してからキャラが動くまでに数フレーム(格ゲーでは1フレーム=約16.7ミリ秒。1秒の60分の1に相当する)のタイムラグが発生する。回線状況が悪いと、このラグが大きくなって操作が重く感じる。古い格ゲータイトルに多い方式だ。

ロールバックネットコードは、相手の入力を「予測」して先にゲームを進め、予測が外れた場合だけ巻き戻して修正する方式。SF6(STREET FIGHTER 6、カプコンが開発した対戦格闘ゲーム)、鉄拳8(バンダイナムコが開発した3D対戦格闘ゲーム)、GGST(GUILTY GEAR -STRIVE-、アークシステムワークスが開発した対戦格闘ゲーム)など、最近の主要タイトルはほぼこの方式を採用している。操作のレスポンスはディレイ方式より良好だが、予測が外れた瞬間に相手キャラが「ワープ」したように見えることがある。これがロールバック特有の違和感だ。

どちらの方式でも、物理的な通信遅延(ping値。自分のデータが相手に届いて返ってくるまでの時間をミリ秒で表す数値)がゼロになるわけではない。つまりオンラインである限り、オフラインとまったく同じ感覚で対戦できることはない、という前提をまず持っておくことが大切になる。

ラグ環境でも安定するプレイスタイルの作り方

ラグを完全に消すことはできない。でも「ラグがある前提でのプレイ」に切り替えることで、影響を最小限に抑えることはできる。

まず意識したいのが、見てから反応する行動への依存度を下げること。オフラインなら見てから対空(相手のジャンプ攻撃を迎撃する技)が間に合う場面でも、オンラインでは数フレーム分の遅延で間に合わないことがある。「見てから○○」に頼ったプレイスタイルは、ラグ環境では不安定になりやすい。

代わりに軸にしたいのは、読みベースの行動と**安定行動(リスクの低い選択肢)**の組み合わせだ。相手の行動パターンを観察して「この場面ではジャンプしてくる可能性が高い」と予測できたら、先に対空を置いておく。確信がない場面ではガードを固めて様子を見る。この「読みと安定のバランス」を意識するだけで、ラグ環境での勝率は目に見えて変わるという声は多い。

もうひとつ、コンボ選択をオンライン用に調整するのも有効だ。トレモで100%決まる最大コンボでも、ラグ環境では目押し(特定のフレームに合わせてボタンを押す操作)が厳しくなるパーツがある。オンラインでは、多少ダメージが落ちても安定して完走できるルートを選ぶほうが、トータルのダメージ期待値は上がりやすい。

オフラインとオンラインで変えるべき戦術

見てから反応が間に合わない技への対処法(読み重視へシフト)

オフライン環境では「見てから対処できる」行動が、オンラインでは間に合わなくなる。具体的にどれくらい変わるか。

SF6の場合、オフラインでの入力遅延は約4フレーム(約67ms)とされている。ここにオンラインの通信遅延が加わると、相手との合計ping次第で2〜5フレーム程度の追加遅延が発生し得る。つまり、オフラインなら発生20フレーム(約333ms)の技に見てから対応できていたのが、オンラインでは実質15フレーム以下の猶予になる場面が出てくる。

鉄拳8はもともと技のモーション自体が速い3D格闘なので、オンラインでの見てからガードはより厳しくなる傾向にある。GGSTはロールバックの実装品質が高いと評判だが、それでも距離が離れた地域同士の対戦ではロールバック頻度が上がる。

こうした状況への対処として大切なのは、「見てから反応する技」と「読みで対処する技」を自分の中で分けておくこと。中段攻撃(しゃがみガードでは防げない攻撃)のうち発生が速いものは、オンラインでは読みガード(相手の行動を予測してガード方向を決めること)で対処する前提にしてしまう。逆に、発生が遅い大技は見てから対処できるので、そこに反応を集中させる。この仕分け作業をやっておくだけで、オンライン対戦のストレスはかなり減る。

回線品質を改善するためにできること

自分側でできる回線改善は意外と多い。

最も効果が大きいのは有線LAN接続。Wi-Fiは便利だが、電波干渉やパケットロス(通信データの一部が欠落する現象)が発生しやすく、格ゲーのようにフレーム単位の精度が求められるジャンルでは不安定さが目立つ。LANケーブルをルーターからゲーム機やPCに直接つなぐだけで、ping値が安定しやすくなる。

次に、ルーターの設定確認。ゲーム機やPCのIPアドレスを固定して、ポート開放やDMZ(特定の機器をファイアウォールの制限対象外にする設定)を有効にすると、NAT(ネットワークアドレス変換)の制限が緩和されてマッチングの安定性が向上する場合がある。具体的な手順はルーターの機種によって異なるので、「(機種名) ポート開放 設定」で調べてみよう。

それから、対戦相手のフィルタリングも活用したい。SF6にはマッチング時に回線品質でフィルターをかける機能がある。鉄拳8やGGSTにも同様の設定がある。多少マッチング時間が長くなっても、回線品質の良い相手と対戦するほうが練習効率は上がる。「ラグのせいで負けた」という不毛な感情を減らすためにも、フィルター設定は積極的に使っておこう。

まとめ -- ラグを言い訳にせず、ラグ込みで強くなる

オンライン格ゲーのラグは、現時点の技術では完全に消すことができない。だからこそ、ラグがあることを前提にしたプレイスタイルを組み立てることが、ランクマッチで安定して勝つための第一歩になる。

  • ロールバックとディレイの違いを理解して、自分がプレイしているタイトルの特性を把握する
  • 見てから反応する行動への依存を減らし、読みベースの行動を軸にする
  • コンボルートはオンライン用に安定重視のものを用意しておく
  • 有線LAN・ルーター設定・マッチングフィルターで自分側の環境を整える

ラグ環境に適応する力は、実はオフラインでも活きてくる。「読みの精度」が上がれば、遅延がない環境ではもっと余裕を持って対処できるようになるからだ。

次のSTEP2では、ランクマッチで避けて通れない「苦手キャラ対策」の進め方に踏み込んでいく。

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